エッセイ「心の残像」ESSAY

プリマ開発者中谷光伸コラム

第六夜 – 少女 –

昨晩こんな夢を見ました。 煉瓦造りの洋館、朝陽が差し込む屋敷の庭に咲く真紅の薔薇、白いドレスを着た幼い少女がひとり、小鳥のような声で歌を歌いながら、薔薇の葉についた毛虫を一匹ずつ丹念に潰している。毛虫を一匹潰すたびに少女の手に穿いた絹の手袋が虫の体液で緑色に染まる。黒いアゲハが数匹、少女を囲みゆらゆらと空に舞う。